総絞りを知る‘So-shibori’
- Traditional Japanese overall tie-dyed cloth

総絞りとは?ー 最高級の絞り染め振袖ご紹介

芸能人やアスリートが着用し、テレビやインターネットでも話題の「総絞り」の振袖。
そもそも「総絞り」とはどの様なもので、なぜ高級品と言われているのでしょうか。

総絞りとは

代表的な「絞り染め」は、生地を小さくつまんで糸で括(くく)ることで作られます。

括った部分は、染色のときに色が染まらず白く残るため、それが絞りの模様となります。
また、色染めのあとに生地を括った糸をほどくと「括り粒」という立体的な凹凸が残り、これが「絞り」独特の風合いを作ります。

「絞り」は、職人が生地をつまんでは括り、つまんでは括りを繰り返し、丹念に一粒一粒を絞っていくことで作られます。そして生地全てにわたって絞られたものは「総絞り」と呼ばれ、その粒の数は1つの振袖で約20万粒以上にも及ぶことになります。

一粒一粒を糸で括って染色した総絞りの状態。ここから糸ほどきや湯のし等の工程を経て完成。

「絞り」の歴史は古く紀元前にまで遡り、インドやアフリカなど世界各地で自然発生的に始まったと言われています。

日本においては、奈良・飛鳥時代に中国から伝来し、室町時代に持て囃された「辻が花」の着物、慶長・元禄時代に洗練された「小袖」の着物など、日本女性のファッションの歴史と共に成長・発展を遂げてまいりました。

特に江戸時代には、絞りの着物が上層階級の間で大流行し、「総絞り」は町人女性の憧れの存在でもありました。
当時の伝統技術は今もなお継承され、現在では日本を代表する独特の染色工芸品として世界に誇るものとなりました。

総絞りの代表「鹿の子絞り」

「絞り」の技法(染め分けの方法や模様の作り方など)は数多くありますが、一番代表的な絞りとされるのが「鹿の子絞り」です。

「鹿の子」とは、絞ることでできた四角い模様が子鹿の背中の模様に似ている事から名付けられました。

遠くから見ると無地に見えますが、近づいてみると精緻な点描画のように全体に細かい絞りが施してあり、見る者を圧倒します。

最高級の絞り「京鹿の子絞り」

古くから絹製品の産業が盛んであった京都では、他の地域よりも絞りの技術も早くから発達してまいりました。
「京鹿の子絞り」は、そんな京都で生産された上質な「鹿の子絞り」のことです。
高い品質と技術を誇るため、絞り製品の中でも最高級品となっています。

鹿の子絞り

「京鹿の子絞り」の中には、更にいくつかの代表的な絞りの技法があります。
例えば、「疋田(ひった)絞り」や「一目(ひとめ)絞り」と呼ばれる技法がありますが、これらの技法で作られた絞りの一粒一粒は非常に緻密で、職人には最も難しい技術が求められます。

この最高級の絞りを施した「総絞り」の製作には、完成までに1年以上の歳月を費やすことも普通です。小さく精緻な絞りの粒が着物の全面に整然と並ぶ様子は圧巻で、その仕上がりは現在でも多くの人々に新鮮な感動を与え続けています。

友禅の技法との違い

「友禅染め」とは、生地に模様を染める技法のひとつで、日本で代表的な染色法の一つです。

「友禅染め」では、防染用の糊で模様を描き、その上から絵筆による手描きで彩色した後、洗いや蒸しなどの工程を経て仕上げます。
京都で生産されるものを「京友禅」,金沢で生産されるものを「加賀友禅」といい、「加賀友禅」は細かい模様とぼかしを入れて華やかに仕上げるのが特長です。

「絞り」は主に糸で括ることで色が染まることを防ぎますが、「友禅」は糊を置くことで染め分けを行い、模様を表わす技法です。
こうした防染方法の違いが、「絞り染め」と「友禅染め」とで異なる風合いや仕上がりを生むことになるのです。

友禅染め

絞り染め

総絞りの振袖の着用シーン

振袖は未婚女性の礼装として、結婚式(花嫁・ゲスト)・成人式・卒業式・パーティなどの正式な場に相応しい着物です。

「総絞り」の振袖が他よりも格が下がるという事は全くなく、一般的な振袖と同等となります。一目見ただけで分かる「総絞り」特有の高級感と圧倒的な存在感は、周りから間違いなく注目される存在となるでしょう。

成人式

結婚式

きぬたや作家紹介

株式会社藤娘きぬたやでは「親子三代に渡ってお召しいただけるきもの」をテーマに日々きもの制作に取り組んでいます。

伊藤嘉秋(いとう かしゅう)

1947年 愛知県生まれ

きぬたや二代目作家として活躍。絞りへの飽くなき追及の末、不可能とされた本疋田70立(生地巾に70粒を絞る)を結実。ニューヨークでの3度の個展を成功させ、1997年代表作「宴」が世界三大美術館のひとつであるメトロポリタン美術館へ永久保存される。

京絞りの伝統を守りつつ、誰も思いつかない絞り加工技術を駆使し、日本の美意識から生まれた繊細な色彩と海外の大胆な色の融合により生み出された上品で気品あふれた「きぬたやカラー」で、唯一無二の「きぬたや絞り」を完成しています。
世の中が大きく変わろうとしている現在、多くの皆様よりご愛顧いただいているきぬたや絞りの更なる向上を目指すとともに、和文化を発信する「和のきぬたや」を通して、皆様の明るい未来へのお手伝いをしたいと考えております。

安藤嘉陽(あんどう かよう)

1958年 岐阜県生まれ

1977年藤娘きぬたや入社。早くから「きぬたや絞り」の彩色を極め、きぬたやカラーを確立。初代伊藤嘉敏、二代目伊藤嘉秋に師事し、現在きぬたや三代目作家として日々新しい挑戦を続ける。

色彩の濃淡や粒の大小、線の太さの違いにより奥行きが生まれた図柄は風にそよぐような動きと立体感を醸し出します。それは安藤嘉陽の求める「風を起こし 絞りが舞う」世界へと導いていきます。技術に裏打ちされた良いものを作るべく、この先も伝統を重んじながら、常に新しいこと、他にない技を取り入れていきたいと考えています。

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